チラシを作る前に知っておくとよいこと。

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私は主にチラシなどの印刷物をデザインして入稿するデータづくりが仕事のひとつなんですけども、仕事を「受ける側」も「依頼する側」も知っていると話が早いことってやっぱりあるんですよね。もちろん状況に応じて事態は変わるんですけど、これからチラシ作りに関わる方達へおおまかな話として参考になれば。

チラシを作る時に決めること。

単にチラシを作ると言っても、決めることがそれなりにあります。

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コンセプト決め。

何に使うチラシなのか。どんな人達に向けてお知らせしたいのか。一番伝えたい内容って何なのか。

イベントならイベント名の他に日付と場所あたりを目立たせますし、安売りの告知なら強調するのは商品と値段ですし、商品案内だったら写真なんかも重要になってきます。物によってそれなりのパターンはあるんですけど、売り主が押す部分がわかればまた作り方も微妙に変わってきます。
アピールポイントを決めるだけで、かなり見やすく分かりやすいチラシになります。ぜひとも面倒がらずにそこはしっかり考えましょう。

 

折込する?手配り?フリーで置いておく?その場合の置いておく場所。平置きなのかラックに置かれるのか。

この辺は予算との兼ね合いもあります。
ネットで印刷すると安く済むんですけど、作ったチラシをどう広めるのか、そこが一番の問題なんですよね。
新聞折込とかするとなるとサイズによって一気に金額が跳ね上がりますし、どこかの施設にただ置いておくだけでは告知範囲は非常に狭くなります。

チラシの広め方は、業者にお願いしてポスティングするとか、自分でポスティングするとか、時間やお金が許せばやり方はいろいろあります。そのやり方がいいかどうかは数回繰り返してみないと何も見えてこないので、どこまで広告に予算をつぎ込めるのかよく考えなければなりません。

もしラックに立てかけて置くようなチラシであれば、その状態でもある程度わかるような配置で作らなくてはいけませんし、そういった情報は作る方も共有したいところです。

 

予算は重要。

少ない部数ならネットで印刷した方がお得な場合が多いですが、1万部あたりを超えてくると地元の印刷屋さんの方が安かったり、他にも融通がきく場合があります。何度も取引があれば割引いてくれたりもしますし、いろいろ相談にのってもらえるのでネット印刷がすべてというわけではありません。もちろん、担当者との相性とかもありますけども。

チラシは内容によって金額に違いが出ますけど、1~2万部の折込チラシを外注するとなると、レイアウト代(デザイン料)+印刷代+新聞折込代でだいたい20~30万くらいかかります。

 

納期はゆとりをもって。

まれに印刷ミスが起きてしまったり、手配が遅れることもあったりしますので、早めに仕上がるように予定を組んでおくと安心です。もし、ポスティングや新聞折込をお願いするのであれば、折込日の数日前にはチラシが出来上がっていなければなりません。ポスティングの業者や折込会社へ引き渡す時間も必要だということを頭に入れておきましょう。

折込日は、期日などが載っていないものならそれほど気にすることはないかもしれませんが、イベントの告知はタイミングはある程度考えましょう。遅すぎはアウトですが、早すぎてもあまり良くないというのはあります。せっかくチラシを見てもらっても、人は忘れますから。。。

 

色の指定。カラーorモノクロ(単色)or2色or3色?

金額に余裕があればカラー印刷にするにこしたことはないんですが、色数を減らすことで印刷料金を引き下げることができたりします。しかし最近はカラー印刷もびっくりする安さを見かけますけどね。

ネットで印刷をすると、だいたいカラーか白黒のどちらかを選ぶ形になりますが、印刷屋によっては少し特殊なことを引き受けてくれる場合があります。

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普通カラー印刷でお願いすると、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色でカラーを表現しています。

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それを、例えば2色刷りの場合、シアン(C)とマゼンダ(M)だけの2色でお願いすることも可能なのです。もちろん、シアンとイエローの掛け合わせでもいいですし、マゼンダとイエローの掛け合わせでもOK。

ここは少し専門的な話になりますが、一般的な印刷は通常オフセット印刷とよばれるものが多いです。シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの4色分の版を用意し、それぞれの色の版にインクがのせられて刷っていくことになります。それぞれの版が重なり合って印刷されているのです。

小学校のときにやった版画を思い出してもらうと分かりやすいかと思いますけど、あの彫刻等でせっせと削って作ったものがひとつの「版」です。今となっては結構貴重な「輪転機」をいじったことがあればわかりやすいかもしれませんね。印刷の前に、版をプリントする作業がありませんでしたか?あれ、手が真っ黒なって大変なんですよね・・

それらの版をもとに色を重ねてカラーを表現し、何枚も同じものを印刷していくのです。

ちなみに印刷屋さんのものは、ガチの印刷機なので版はアルミ製で大量印刷できるものです。丈夫で磨耗が少なく、しかもスピーディーに紙に印刷できるという非常にいい版を使っているのです。そんな版を作る工程にもお金がかかっているんですね。印刷屋さんの話によると、プリントする用紙よりも版代の方が印刷料金の大部分をしめているらしいですよ。

つまりカラー印刷なら版は4色分作る必要があるのですが、2色なら2色分だけ版をつくればよいということになります。これが料金を引き下げるポイントになります。その代わり、データを作るときもシアンとマゼンダの2色のみで作成する必要があります。写真やイラストなんかも2色に加工して配置します。

このとき、データ上はシアンとマゼンダで作っていたとしても印刷時のインクの色を変えてもらうだけで、また違った印象になります。

1色で作った場合も同様の仕組みです。
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使うインクを変えてもらうと、また違った印象のものになります。

ですが、これはオフセット印刷という版刷りをしているからこその手法です。
最近はあまり見かけなくなりましたが、カラーチラシが多いからこそ逆に目立つ場合もありますね。同じカラーを使うことで、どこのチラシか色だけで印象付けることができたりします。

ところが、近頃はオンデマンドというデータを直接プリンターでプリントしちゃうやり方もありまして、その場合はデータ作りも全部カラーで配色してOKなので、データ作りに専門的知識がなくてもなんとかなります。

オンデマンドは版を作る必要がないので、少ない部数でも低価格で印刷ができるところが魅力ではあります。 オフセット印刷の場合は部数が多ければ多いほど単価がどんどん下がっていくので、たくさん印刷したい場合はお得になるんですけど、オンデマンドは単価は変わらぬままなので部数が多くなるほど高くなってしまいます。

仕上がりの詳細さはオフセット印刷の方がきれいです。見比べないと気がつかないこともありますけど、写真なんかは結構違いがでることもあります。

どっちの印刷方法がいいかは単純な話ではありません。そこは予算やコンセプトにそった方向で決めるとよいのではないでしょうか。

 

サイズの選び方。

A5、A4、A3、B5、B4、B3・・と、いろいろありますけど、サイズが小さい方が印刷代は安くなりますが、内容を詰め込みすぎて見にくいチラシにはならないようにしましょう。サイズによっても新聞折込の料金が変わります。

 

使う紙質と厚さについて。

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一般的によく使われているのはコート紙という表面に光沢があるツルツルした紙です。マットコート紙というツヤ消しな紙もよくあります。
コート紙の方が色鮮やかな発色で印刷されるので写真を強調したいときはコート紙を使うのがよいでしょう。マットコート紙は、しっとりと落ち着いた風合なのでイラストが主体の場合なんかにおすすめです。
ですがマット紙の場合、写真はコートに比べて仕上がりの色合いが少しくすみがちになります。鮮やかさやインパクトを強調したいならコート紙を使う方がよいと思われます。

紙の厚さは、特殊な紙でない限り、薄いほど低価格になります。
大型店舗の折込チラシなんかは極限まで薄い紙で刷っていたりしますが、それは相当の部数を刷るという資金力のあるところができることなので、少ない部数での印刷にはむきません。

チラシの相場は70kg~90kgくらいが一般的な厚さ。厚みがあると、チラシというよりパンフレットよりな印象になります。
透けるのを避けたい場合は90kgくらいの厚さがあれば安心。もしラックに立てかけるようなチラシであれば、ある程度厚みがなければ状態を保てないので、90kg~110kgくらいの厚さがあってもいいような気がします。

 

部数を確認。

どういった形で販促するのか、配るのか、折込をするのか、しないのか。予備がは必要か。折込をするなら、事前に折り込みたいエリアの部数や料金を確認しておきましょう。

 

入れたい写真やイラスト、ロゴ等はある?

自身でデジカメで撮影したデータを使うのはもちろんOKですが、印刷する場合、解像度の知識がなければきれいに印刷されてきません。一度印刷されたものをスキャナーで読み込んで再度印刷するというのも、きれいに印刷できません。強引にやることもありますけども、おすすめしません。

ネットから拾ってきた画像を勝手に使うのもいけません。フリー素材と明記されていても使用条件をきちんと確認しましょう。

また、なにかの商品や会社のロゴや特定のマークを使う場合も、ロゴマークなどは、色の指定などの使用条件が厳しかったりします。そもそもそれは勝手に使っていいものなのかきちんと確認をとりましょう

 

いろんなチラシがあるけれど・・

チラシは邪魔にされがちなものですけども、見ている人は必ずいます。自分が作ったチラシを取っておいてくれている方がいると知ったときは感動しました。

作るのは簡単に見えますけど、無計画に漠然と始めちゃうと何度もやり直したくなりますし、時間もかかるし結構面倒な作業になってしまうんですよね。ミスプリントが発覚すると金額も大きいですし、WEBのようにすぐに修正がきかないので、事態の収束がそれはそれはもう大変です。

チラシを作るといっても、資料があればそれで客呼びまくりなものが作れるというものでもありません。
ちゃんと効果を出したいならそれにそった作り方がやっぱりあるので、作る方としては何をどうしたいのか知りたいというのがあります。自身で作るならそれなりの勉強をして、外注に出すならちゃんと打ち合わせをして、少しでもいい方向へむくツールにしていけるといいですね。

それにしても数年前までは考えられない料金で印刷できる業者も増えて驚くばかりです。作る方からしてみれば安いにこしたことはないんですけどね。でも入念な打ち合わせができる点では、やはり直接担当者と話をするのが一番なので、地元の印刷屋もいてくれないと困ります。どっちがいいとかじゃなくて、双方がいい形で長く続いてくれるといいなあと望んでます。

 

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